ブラックストーリーズかと思った – 『ラテラル ~水平思考推理の天使~』

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1年ほど前に日本でも発売された『ブラックストーリーズ』というカードゲーム(ボードゲーム)がある。マスターが提示した1枚の絵が書かれたカードを元にマスターに対して「YES」か「NO」かで答えられる質問をし、その結果でその絵に書かれた人物の死因を特定するというゲームだ。

『ラテラル ~水平思考推理の天使~』はちょうど推理モノを読んでみたいなと思っていたので買ってみたんだけど、本のはじめにこの本で行われている「水平思考推理ゲーム」のルールを読んで、これ『ブラックストーリーズ』だと思ってしまった。

最近、ボードゲームがラノベでもわりと登場するようなったので、この本もボードゲームものかと少しうれしくなったんだけど、実はこのゲーム、元は「ウミガメのスープ」というかなり昔からあるゲームだということをはじめて知った。この本によると景山民夫がこのウミガメのスープを日本で広めたらしく、その紹介エッセイを元に世にも奇妙な物語でドラマ化もしているらしい。いや、全然知らなかった。

ただバトルをしてたりハーレムしてたりするよりこういうことが知れるラノベって良いね。最近だと『ひとつの海のパラスアテナ』とか『超常科学NVL OCCULTIC;NINE – オカルティック・ナイン』とか。

前置きがながくなったけど、この本のあらすじ。

謎を解く事が生きがいの少年・鳩ノ巣論。極限まで肌を隠し、合成音声で自己紹介する不可思議な少女・瑞平すすめ。
アクシデントがきっかけで論がその肌に触れた瞬間、突如世界が暗転した。『天使』が支配する闇の空間に引きずり込まれた論は、その空間とすすめの謎を解き明かすため、『天使』が生み出す謎の【状況】の【解明】に挑む――『水平思考推理ゲーム』、【状況開始】!

すすめの特異体質の原因を解明しようとする理知的で少し感情が欠けているところがある論(ろん)、その恋人で大阪のおばちゃんみたいな結瑠(ゆえる)、特異体質で他人との交流を避けているすすめ、その幼なじみですすめを守ることに命をかけている晴希という性格のまったくことなる4人が、時には罵り合い(主にゆえると晴希)、時に協力して謎を解く姿は青春だなぁって感じで清々しい。それぞれに抱えている問題なんかもあって、その部分もどうなるのか知りたいのだけど、すすめの設定などもあって、フォローは難しいのかなってところが残念だ。一応続けられるような内容にはなっているけど、この面白さを維持するのは結構大変そう。

そして、この本のメインになっている「水平思考推理ゲーム」の部分ですが、ブラックストーリーズと同じく出題からまったく予想が付かないので、登場人物たちに混ざってこういう話なんじゃないのってのを予想するのは楽しい。そして、ちゃんとこのゲームを使って登場人物たちの性格や距離などを縮めているのが上手いと思った。

この本を読んで俺らのブラックストーリーズ(水平思考推理ゲーム)の楽しみ方が間違っていたことに気付かされました。もう一度ブラックストーリーズに挑戦してみようかな。

それにしても犯人の息子さんイケメンすぎ。

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