なんて駆逐艦だ！
艦これの初ノベライズ作品ということで買ってみた。作者は『まぶらほ』や『けんぷファー』の築地俊彦。艦娘たちの性格付けは好みが分かれそうだけど面白かった。細かい艦これの設定を知ることができるのも良い。
呉鎮守府から横浜鎮守府に転属してきた陽炎が配属されたのは曲者駆逐艦の寄せ集めの第十四駆逐隊だった。陽炎は嚮導艦（きょうどうかん。指揮をとる艦）として、第十四駆逐隊のメンバーと衝突しながら上を目指すという話。
それぞれの艦娘が抱えている問題を訓練を通じて解決し団結を深めていくという王道的なストーリーで読みやすく楽しめる。艦船についての豆知識なども織り込まれており、艦これで艦船に興味を持った人にはお勧めしたい作品。艦娘ってどうなってるのなどの説明も入っており、さまざまな要素を盛り込んでいるのに説明っぽくない展開は上手い。
曙は駆逐艦を嫌っており反抗的な捻くれた性格、皐月はどこでも筋トレを始めてしまう筋肉馬鹿、霰は無口で何を言っても無反応、長月は霰にべったりで艦隊行動を乱しても霰から離れようとしない、秘書艦の愛宕は「お姉ちゃん」と呼ばないと拗ねるキャラとこれだけ読むと艦娘はそんなひねくれていないと苛立ってしまうかもしれない。もちろんいろいろと意味があるので序盤で投げずに最後まで読んだ方が良い。ただ、俺の好きな潮は巨乳をのぞけば良い性格だったので良かった。
訓練シーンは艦娘がどのように移動して、どのように砲撃、雷撃をしているのかを知ることができて面白い。また艦船や艦娘、戦術に関する豆知識も知ることができるので、より一層第十四駆逐隊のメンバには愛着が持てると思う。
個人的にはラストの深海棲艦とのバトルのシーンは少し都合が良すぎると感じる。午後に船団護衛に向かった奴を助けるために夜全員が寝静まってから救援に向かって間に合うだろうか。ピンチを仰いでおきながらこの型は次弾装填があるからと後だしで解決してしまうのも艦を知らない人だけを驚かせるような形になっておりどうかと思う。
NOCOの挿絵は非常に良かった。上はお気に入りのシーン。
次の巻では呉で一緒だった不知火も加わるらしいので楽しみです。
