「彼の声」の意味、分かりますか?
009の知識はほぼ皆無だけど、神山健二監督作品ということで観に行ってきた。アクションが豊富で、同種の押井守の哲学的な映画よりははるかに見やすく、眠くはならないんだけど、内容が理解できないという不思議な映画だった。12モンキーズのようなBlu-ray買って何度も見直したい映画であった。『ウォッチメン』が好きな人は楽しめるかも。
まずこの映画で語るべきは手描きを使わず全編3DCGIによって作られたアニメーションだろう。質感、動きともに手描きと同等の美しさを出しており、俺が観た日本らしいCGアニメーションの中では最高に思える。キャラクターが自動的に動いているような違和感がある場合もあるが、多くは手描きのアニメだったらこう見え風に近づけていて、アクションシーンなどは逆に動きが良く、これで余計なコストが掛からないのであれば、この方法でアクションが豊富なアニメはやって欲しいと思った。
音楽は安定の川井憲次。アバロンなどと同様効果的にオーケストレーションを使ってくる。序盤から映画に引き込まれる音楽に圧倒だれるだろう。
声優の演技も良かった。広告塔有名人を使わず声優畑の人を採用したのは正解。セルフ配給故か。フランソワーズの斎藤千和がかなり良かった。やっぱり斎藤千和の声は可愛いな。イワンはシャアの奥さん玉川砂記子、あのお年でこの声とは。ジェットの正義感は小野大輔の声にあっているし、アルベルトの渋さは大川透が似合いすぎていた。ジョー役宮野真守の少し鼻に掛かった「加速装置」ってセリフはちょっと面白いなと思いつつ、いろいろと苦悩する役は彼が適任だろう。張々湖、ジェロニモもかなり出番がありそれぞれのキャラにあった良い演技であった。しかし、ピュンマとグレート・ブリテンについてはそもそも登場が少なく印象が薄い。特にピュンマはほぼ空気に等しいし、彼ら二人は制服すら着ない。ピュンマに至っては能力すら不明だ。
そして、多くの人が分からないといっているストーリー、特に今回の映画でメインとなるテロ事件を示唆したとされる彼の声の存在だが、おそらくクライマックスまではなんとなく面白いと思うのではないだろうか。多くの要素をかみ砕かなくてもついていける。しかし、最後に彼の声の説明があり、これがさっぱり分からない。自分で考えろということなのか、原作を知っていたらニヤッとできますよというサービスなのか分からない。途中でもピュンマの研究結果として説明があったり、ジョーの心象世界やラストで語られるのだが、この辺りのシーンを何度も見直せば理解できるのだろうか。結局この部分が疑問に思ってしまうと、はたして彼らは何と戦っていたのかとなってしまう。「彼の声」については009をみた友達がいたらどう思ったか意見交換してみたい。
「彼の声」の設定は押井守が書いたのかなと思いつつ、全体的には攻殻機動隊のような誰が敵なのかはっきりしない二転三転するというスリリングな展開で最後まで飽きさせない。このような展開は俺の望むところであるのでやはりBlu-rayを買って自分なりの回答をみつけたいそんな映画である。
それにしても斎藤千和の声いいな。Rewriteの小鳥みたいな役だとロリババアにしか聞こえないのに、フランソワーズみたいな役だとエロすぎる。