空飛ぶタイヤ

池井戸潤原作にハズレなし。

同原作のドラマ作品に比べると次週への引きはないので起伏は激しくないですが、おなじみの逆境から這い上がる主人公像はスカッとして楽しい。

『空飛ぶタイヤ』は2002年1月に横浜で起きた大型トレーラーから脱輪したのタイヤが歩道の母子に接触し、母親が死亡した事故を発端とする2004年の三菱リコール隠し問題をテーマにしたフィクション。


参考
三菱リコール隠しWikipedia

大型の契約が取れて少し明るくなった赤松運送に突如起きた死亡事故。社長はリストラ対象に上がっていた整備部の社員を疑うのですが、その社員が残してた整備記録を見て整備不良が原因ではないと確信。

社長はトラックの車両欠陥を疑うのですが、相手は財閥系大企業のホープ自動車。日本を代表する大企業がまさかそんな重大な欠陥を隠しているはずがないと、ホープ自動車の検証結果を警察も世間も事故の被害者も疑わず、運送会社は追い詰められていく。

この会社存続と名誉挽回の瀬戸際で戦い続ける赤松運送の社長を長瀬智也が演じているのですが、親分肌みたいなのがぴったりマッチしていて良い感じでした。

一方のホープ自動車の営業課長を演じるディーンはいかにもやり手の営業課長で自社に誇りを持っていて、長瀬とは対立するけど、同期のムロツヨシが持ってきた情報を元に社内を疑い行動を起こすクールなんだけど熱い、俺には俺のやり方があるみたいな役を表情に出さずに演じてるのが良かった。

高橋一生は地味だけど岸部一徳と升毅の猛攻に耐える行員がハマってた。そして、その上長を演じる津田寛治が高橋一生の審査遅延行為を納得いくまでやれと見守っててもっとかっこよかった。

全体的な配役はこの手の人物ならこの役者みたいなはまり役のオンパレードで新しさはないんだけど違和感がなくストーリーに集中できる。

人物的にはディーン演じるホープ自動車の課長が好き。

会社の回答が間違ってないと信じながらも、ユーザーの言っていることが正しいのではないかと思うことは多々ある。実際にそういう問題が起きたとき、こんな感じに上手に立ち回れるのかなと。なんか自分だと長瀬に共感して自滅しそう。

しかし、財閥系の車メーカーってことで、車を知っていればホープ自動車が三菱だって分かるとは思うんだけど、ホープは頭文字がHなのでHINOみたいなマークで誤解されないかなって思った(余計なお世話)。

池井戸潤の作品なのにWOWOWと映画でしか映像化されてないのは地上波のスポンサーに自動車会社が多いからなのかなと思ったり。

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